当協議会では、キャッシュレス決済をめぐる業界共通の課題について、会員が参加する年間プロジェクトで検討を進めています。2026年度は、次の4つのプロジェクトに取り組んでいます。いずれも検討の途中段階にあり、会員の皆さまのご意見を反映しながら進めています。
包括加盟店におけるテナント情報更新の標準化
商業施設から決済事業者へのテナント情報の届出を、共通の様式と手順にそろえる
背景にある課題
ショッピングセンターや百貨店では、施設の運営者(デベロッパー)が決済事業者と包括加盟店契約(施設側がまとめて決済の取扱いを担う契約)を結ぶのが一般的です。テナントの出退店や変更のたびに、デベロッパーは決済事業者ごとに異なる様式で届け出ており、事務負担や届出漏れが生じています。決済事業者にとっても、加盟店管理に必要な情報が適時に届きにくい状況です。
今年度取り組んでいること
今年度は、ショッピングセンターや百貨店などの対面の商業施設を対象としています。施設がゲートウェイ(決済データを中継する事業者)を経由して決済事業者とつながっている場合も対象に含みます。一方、決済代行事業者(PSP)を経由して契約する個店は、今年度の対象外です。これらの施設を対象に、決済手段を問わず使える共通フォーマット(届出用の様式一式)と標準業務フローを検討しています。主な論点は、決済手段ごとに異なる必要項目の束ね方、各社で体系の異なる加盟店番号等の扱い、変更・解約時の記載方法、書式と入力規則、既存業務を生かした導入・移行の方法です。検討の開始については、2026年4月10日のお知らせもご覧ください。
今年度の進め方と主な節目
夏から秋にかけて、決済事業者への個別ヒアリングで現状と各社の様式を把握し、秋に共通フォーマットの素案をまとめます。その後、商業施設側の業界団体やゲートウェイ事業者のご意見を伺いながら、年内に素案の手直しと業務フロー案づくりを進め、年度内の展開開始を目指します。
こんな方の参加を歓迎します
クレジットカード、コード決済、電子マネーの各事業者に加え、ゲートウェイ事業者、決済端末・システムの事業者、商業施設の運営者の参加を歓迎します。全体会での議論や素案への意見を通じて、自社の実務に合う様式づくりに直接関われます。
グリーンペイメントの実現
キャッシュレス決済の場面で生じる紙を起点に、決済の環境面の価値とその実現の道筋を業界で考える
背景にある課題
キャッシュレス決済はこれまで、主に「便利さ」と「おトク」の面から利用が呼びかけられてきました。一方、会計の現場では、レシートに加えて、カードなどで支払った際に決済端末から出力される「控え」(利用者用・加盟店用などの紙)がいまも出され続けています。業界ルールや端末の仕様、店舗の業務慣行などによって紙が残っている面もあり、こうした紙のあり方や、決済の環境面の価値をどう示すかは、個社だけでは答えを出しにくい課題です。
今年度取り組んでいること
本プロジェクトは「キャッシュレス決済の環境的価値をどう伝えるか」という問いから出発しました。現在は、決済の場面で生じる紙の削減を有力な方向の一つとし、その実現可能性を含めて検討を進めるとともに、他の切り口もあわせて検討しています。検討しているテーマには、帳票の種類ごとに紙が残る理由と法令上の要否の整理、紙を出さない運用に切り替える際の表示・周知のあり方、決済に伴う環境負荷の算定・開示の考え方などがあります。
今年度の進め方と主な節目
2018年度に当協議会で整理したペーパーレスの検討成果を土台に、5月ごろの初回会合で選択肢を幅広く共有し、夏にかけて会員アンケートと国内外の事例調査で論点を絞り込んできました。秋以降は重点テーマを絞り込んで検討を深め、年度末に今年度の検討結果をとりまとめ、会員の皆さまに共有する予定です。
こんな方の参加を歓迎します
カード・コード決済・電子マネーなどの決済事業者に加え、決済端末やPOSのメーカー・システムベンダー、店頭運用を担う小売・飲食などの加盟店、サステナビリティ開示に取り組む企業の参加を歓迎します。紙を出す仕組みを担う側と、店頭で紙を扱う側の双方の視点から、移行の進め方や現実的な道筋に知見を反映していただけます。
地域通貨フォーラムの組成
地域通貨の発行主体と支援事業者が知見を持ち寄る場を、会員とともに設計する
背景にある課題
地域ポイントやデジタル商品券など、特定の地域で使える「地域通貨等」は、交付金の活用などを背景に発行が増えています。一方で、運用ルールやシステム仕様は地域ごとに異なり、発行主体である自治体や商工団体が他地域の知見を参照できる場は限られています。また、資金決済法(電子マネーなどの決済サービスを規律する法律)の適用対象外となる形態も多く、全国的な流通実態も十分に把握されていません。
今年度取り組んでいること
当協議会が2024年9月に公表した「地域通貨等の導入検討に関するガイドライン(第1版)」を土台に、発行主体と支援事業者が集い、行政とも連携する「地域通貨フォーラム」(仮称)の設計を進めています。主な検討テーマは、フォーラムが担う機能(情報共有、新規導入の支援、実態統計の把握、ガイドライン改訂への反映)、対象とする地域通貨等の範囲、参加区分と費用の考え方、中立性を保つ運営体制、関係省庁との連携のあり方です。フォーラムの参加区分や費用は現在検討を進めていますが、協議会の会員の皆さまは、設立後のフォーラムにもご参加いただける方向で検討しています。
今年度の進め方と主な節目
会員による検討会合「全体会」とアンケートを交互に重ねながら、合意形成を図っています。5月ごろに検討を開始し、6月ごろに論点の方向性を確認しました。現在は設立趣意書(フォーラムの目的や体制を定める文書)の作成を進めており、冬ごろに案をまとめ、年度内にフォーラムの参加募集を始めることを目指します。
こんな方の参加を歓迎します
地域通貨や地域ポイントのシステムを提供するITベンダー、決済事業者、導入を支援するコンサルティング会社、加盟店となる小売・交通事業者、地域金融機関などの参加を歓迎します。仕組みをゼロから設計する段階のため、入会いただくと全体会を通じて設計そのものに関わることができ、現場の実務課題を知る方の視点がそのまま議論に反映されます。
地域通貨の発行主体である自治体や商工団体の皆さまには、設立後のフォーラムへのご参加を歓迎します。設計段階でも、どのようなフォーラムであれば活用しやすいかについて、ご意見をお寄せいただければ幸いです。
AIエージェント時代における決済の取扱
AIが人に代わって支払う時代の決済を、日本法の観点から点検する
背景にある課題
利用者に代わって商品選びから支払いまでを自ら判断して行う「AIエージェント」による取引が広がりつつあります。技術仕様は海外主導で整備が進む一方で、AIの誤認識による誤発注や、悪意あるボットとの見分けにくさといった新たなリスクも指摘されています。しかし、国内の取引について日本法にもとづく整理はまだ十分に進んでおらず、事業者にとっても利用者にとっても、何が起きたときにどうなるのかを予測しにくい状況です。
今年度取り組んでいること
今年度は、国内の消費者向け取引(B2C)を対象とします。決済手段は限定せず、現行法で対応できる範囲と、残る課題を整理します。中心に置くのは、AIによる注文を本人の申込み(意思表示)とみなせるかという民事法上の問いです。そこから、消費者保護、決済関連法、本人認証・データ保護、国際標準との整合へと論点を広げています。これらの領域にわたり、9つの観点から30を超える論点を整理し、検討を進めています。
今年度の進め方と主な節目
隔月で全体会を開き、具体的な利用場面を手がかりに論点を洗い出してきました。秋ごろからは、意思表示の帰属や代理といった基礎的な論点を検討します。検討にあたっては、公表済みの公的な整理も踏まえるとともに、関係する行政機関とも意見交換を進めています。冬ごろに報告書の草案を議論し、年度末までに中間取りまとめとして整理し、会員の皆さまに共有する予定です。
こんな方の参加を歓迎します
カード会社や銀行、コード決済・電子マネー事業者、EC事業者、AIエージェントの開発事業者、認証・不正対策の技術を持つ事業者などの参加を歓迎します。社内の法務・リスク管理のご担当者に加え、法律事務所やコンサルティング会社など、外部の専門家の立場からのご参加も歓迎します。全体会での議論に加えて、アンケートや事務局との個別の意見交換を通じ、現場で見えている課題を論点に反映していただけます。
プロジェクトへの参加について
入会後は、直近の会合から、参加するプロジェクトを選んでご参加いただけます。入会前の会合資料も会員専用サイトでご覧いただけます。入会をご検討の方は、入会手続きのページをご覧ください。
